乾さん。中等部時代の練習試合なども含め、シングルスでもダブルスでも試合をしたことのある青学の3年生だ。この人のプレイスタイルは、集めたデータを駆使して戦術を組み立てるという、嫌なテニスをしてくる人で、氷帝でもあまり相手をしたくないと思っている者が多い。それは、データを集められる乾さんの観察力、そして、それを使いこなせる身体能力もかなりのものだと思っているからこそだろう。もちろん、俺も素晴らしい選手だとは思うが・・・。あまり、関わりたくはない。
「やぁ。これは、氷帝の日吉とマネージャーのさんじゃないか。」
「青学の乾さん!お久しぶりです。どうしたんですか、こんな所で・・・。」
「いやぁ、ちょっと買出しを、ね。」
その瞬間、俺が中等部2年だったときの全国大会の打ち上げで、他校と焼肉を食べたことを思い出し、身震いしたのは、当然のことだろう。・・・あのとき、乾さんの料理能力を・・・・・・、いや、これ以上思い出すのは止めておこう。その代わり、今日の乾さんの買出しによって、青学の選手が死なないことを祈ろう。借りを返す相手が居なくなっては困る。
「2人は、どうしたんだい。まさか・・・!俺のデータでは、まだ2人はそういう関係ではなかったはずだが。・・・これは、データを改める必要があるな。」
そう言いながら、乾さんは何処からか、ノートを取り出した。・・・一体、それは何のためのデータなんだ?だから、俺は関わりたくないんだ。中等部のときも、いつの間にか俺のプレイスタイルはもちろんのこと、性格・誕生日・血液型・好きな言葉や家の道場まで、調べられていた。・・・この人に、プライバシーという言葉は無いのだろうか。せめて、の情報は漏らすまいと俺は思った。
「乾さん、何か勘違いしていませんか?私たちも、部活の買出しですよ?」
「そうか。・・・いや、しかし、今日は氷帝の部活は休みだったはずだが?」
「昨日、が買出しのチェックをしているところを偶然、俺が見たんです。それで、部活が休みの今日、買いに行くということだったので、俺も手伝うことにしたんです。」
「なるほど。そういうことか。」
乾さんは、まだノートに何かを書いている。・・・何のデータかは知らないが、今の会話での情報は、何も手に入っていないだろう。今の内に乾さんから去ろうと、俺はの手を引っ張って言った。
「それでは、まだ買出しがありますので。・・・行くぞ、。」
「わ!う、うん。・・・それでは、乾さん。失礼します。」
「あぁ。2人とも、頑張っておいで。」
少し笑って俺たちを見送った乾さんは、その後も何やらノートにメモをしていた。・・・恐ろしい。
今後も、の情報を簡単に渡さないよう、俺が守ってやらないとな。
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今日は、久しぶりに部活が休みだった。何か良い物が仕入れられそうな気がして、俺は少し遠出をしてみた。
すると、氷帝テニス部2年の日吉と、同じく氷帝テニス部マネージャー2年のさんを見かけた。
日吉は中学時代、氷帝の中等部に通っており、そのときもテニス部に所属していた。俺も日吉とは、シングルスでもダブルスでも、何度か試合をしたことがある。
さんは中学時代、立海大附属中に通っており、そのときもテニス部のマネージャーをしていた。
高校になってからも、2人とは何度か会ったことがあり、俺は気軽に挨拶をした。
「やぁ。これは、氷帝の日吉とマネージャーのさんじゃないか。」
「青学の乾さん!お久しぶりです。どうしたんですか、こんな所で・・・。」
「いやぁ、ちょっと買出しを、ね。2人は、どうしたんだい。まさか・・・!俺のデータでは、まだ2人はそういう関係ではなかったはずだが。・・・これは、データを改める必要があるな。」
そう言いながら、俺はノートを取り出した。
俺のデータでは、確かに2人はお互いに好意を持っていたようだが、まだ付き合ってはいなかったはずだ。
「乾さん、何か勘違いしていませんか?私たちも、部活の買出しですよ?」
「そうか。・・・いや、しかし、今日は氷帝の部活は休みだったはずだが?」
「昨日、が買出しのチェックをしているところを偶然、俺が見たんです。それで、部活が休みの今日、買いに行くということだったので、俺も手伝うことにしたんです。」
「なるほど。そういうことか。」
やはり、2人の関係はまだ進展していないようだった。しかし、2人とも嬉しそうに、2人で買出しをしている。・・・うん、次に会ったときは、何か進んでいるかもしれないな。お互い、素直になり始めている。
俺は、2人の関係に期待ありとメモをしておいた。・・・こういった情報も、もちろん、テニスに使える。好きなものを知ることで、その人物の性格がわかり、テニスのプレイにも影響が出てくるからな。
実際、日吉はさんと出会ってから、攻撃的なテニスばかりではなくなった。ただし、立海の切原との試合では、より攻撃的になったりもする。これも、さんの影響だろう。
「それでは、まだ買出しがありますので。・・・行くぞ、。」
「わ!う、うん。・・・それでは、乾さん。失礼します。」
「あぁ。2人とも、頑張っておいで。」
日吉は、さんを守るように、手を引っ張って、その場を去った。俺も2人の応援をしつつ、見送った。そして、日吉は手を繋げるぐらい積極性も出てきたとメモしておいた。
まぁ、俺は2人とは違う学校だから、あまり関われないが、協力はするよ。欲しいデータも、教えられるものは教えてあげよう。
乾さんと日吉くんのシングルス戦は、たしかアニオリでしたね。私としては、その試合結果に納得いきませんでしたが・・・(笑)。まぁ、そんなこと言ったら、ダブルス戦だって納得しているわけじゃないんですけど・・・(汗)。
・・・日吉くん、早く公式戦で勝ってほしいなぁー(苦笑)。
それにしても、乾さんは暇なんですかね?!(笑)2人の関係性までノートにメモして・・・何に使うんだ?!って話ですよ。いや、でも、そのデータも有効に使えるみたいですから、仕方ないですよね!(←言い聞かせ/笑)
('09/11/15)